サウナブームの到来により「ととのう」快感を求めて足繁くサウナに通う人が急増していますが、それと同時にまことしやかに囁かれているのが「サウナに行きすぎるとハゲるのではないか」という不安な噂であり、高温の空間が髪や頭皮に与える影響について正しい知識を持たずに利用していると思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。まず結論から言えば、サウナそのものが直接的な脱毛の原因になるという科学的な根拠はありませんが、サウナ室内の「熱」と「乾燥」が髪のタンパク質を変性させたり頭皮の水分を奪ったりすることで、間接的に髪の質を低下させ抜け毛のリスクを高める要因になり得るというのは紛れもない事実です。髪の毛はケラチンというタンパク質でできていますが、このタンパク質は熱に弱く、乾いた状態であれば約150度程度まで耐えられますが、濡れた状態だと約60度前後から熱変性を起こし始め、一度変性したタンパク質は元に戻らず、髪が硬くなったり切れやすくなったりする「髪の火傷」状態になります。一般的なドライサウナの室温は80度から100度近くに達するため、濡れた髪のまま無防備に入室すると髪内部の水分が沸騰するように蒸発し、キューティクルが剥がれてボロボロになってしまいます。さらに頭皮に関しても、急激な発汗によって皮脂や水分が失われ極度の乾燥状態に陥ると、バリア機能が低下して炎症やかゆみを引き起こし、土壌としての機能が弱まってしまいます。しかし一方で、サウナには全身の血行を促進し自律神経を整えるという絶大なメリットがあり、これは頭皮への血流改善やストレス解消につながるため、正しく利用すればむしろ育毛にとってプラスに働く要素も大きいのです。したがって「サウナでハゲる」のではなく「間違った入り方をするとハゲるリスクがある」というのが正解であり、サウナハットを被って熱から頭を守る、濡れた髪をタオルで保護する、入浴後は入念に保湿ケアを行うといった対策を講じることで、熱のデメリットを最小限に抑えつつ、サウナの健康効果を最大限に享受することが可能になります。サウナは諸刃の剣であり、その剣をどう扱うかは使い手であるあなた次第なのです。