AGA治療薬であるデュタステリドは、国内のクリニックで処方を受けると、保険適用外のため比較的高価になります。その費用を少しでも抑えたいという思いから、インターネット上の個人輸入代行サイトを利用する人が後を絶ちません。しかし、その手軽さの裏には、あなたの健康を著しく損なう深刻なリスクが潜んでいることを、強く認識しなければなりません。個人輸入で手に入る薬剤の最大の問題点は、その品質が全く保証されていないことです。送られてきた薬が、有効成分を全く含まない偽造薬であったり、逆に過剰に含んでいたりするケースが報告されています。また、不衛生な環境で製造され、有害な不純物が混入している可能性も否定できません。そのようなものを服用すれば、期待した効果が得られないばかりか、予期せぬ健康被害を引き起こす危険性が非常に高いのです。さらに、個人輸入は医師の診察を介さないため、そもそも自分がデュタステリドの適応であるかどうかの判断ができません。AGAだと思っていた薄毛が、実は別の疾患が原因である可能性もあります。また、副作用が出た場合に、適切なアドバイスや処置を受けることもできず、一人で深刻な事態に陥ってしまうリスクもあります。クリニックでの処方は、単に薬を受け取るためだけのものではありません。医師があなたの健康状態を正確に把握し、治療の適否を判断し、定期的な診察で効果や副作用をチェックするという、安全を確保するための重要なプロセスなのです。目先の安さという誘惑に負け、取り返しのつかない健康被害を被るリスクを冒すのか。それとも、正規の医療機関で、専門家の管理のもと、安全かつ確実な治療を受けるのか。その選択が、あなたの未来を大きく左右することを、どうか忘れないでください。