古来より重要なことを「肝腎要(かんじんかなめ)」と表現しますが、これは育毛においても至言であり、髪の毛という生命維持において優先順位の低い組織を健やかに保つためには、生命維持の根幹を担う肝臓と腎臓という二大臓器が健全に機能し、余力がある状態を作ってあげることが何よりも重要であり、タンパク質の過剰摂取はこの「余力」を完全に奪い去ってしまう行為に他なりません。肝臓は体内に入ってきた栄養素を体が利用できる形に変換する代謝機能と、アルコールやアンモニアなどの有害物質を無毒化する解毒機能を担っていますが、タンパク質を処理する際にはこの両方の機能をフル稼働させる必要があり、キャパシティを超えると肝機能全体が低下し、髪の原料となるアミノ酸の合成能力が落ちるだけでなく、解毒しきれなかった毒素が血液中に漏れ出して毛根を攻撃し始めます。一方、腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として排出する浄化装置ですが、タンパク質の代謝産物である尿素窒素やクレアチニンを排出するために常に働いており、高タンパク食が続くと腎臓内の糸球体というろ過フィルターに高い圧力がかかり続け、やがてフィルターが傷ついて機能が低下してしまうリスクがあります。東洋医学では腎臓は「精(生命エネルギー)」を蔵し、その華(現れ)は髪にあるとされ、腎が弱れば白髪が増え髪が抜けると数千年前から説かれていますが、現代医学的に見ても腎機能の低下は血液の質の低下を招き、貧血や血流障害を引き起こして髪への酸素供給を断つため、この古典的な理論は極めて的を射ていると言えます。つまり、髪を増やしたいのであれば、タンパク質を詰め込むことよりも、まずは肝臓と腎臓を休ませ、その機能を最大限に発揮できる環境を整える「引き算のケア」こそが必要なのです。具体的には、週に一度は肉を控える休肝日ならぬ「休タンパク日」を設ける、肝臓の働きを助けるタウリンやオルニチンを含むシジミやイカを食べる、腎臓の負担を減らすために塩分を控えカリウムを含む野菜を摂る、そして何より水分を十分に摂取して尿による排泄を促すといった内臓ケアを徹底することで、体内の浄化システムが正常化し、きれいな血液が頭皮に届くようになります。高級な育毛剤を塗る前に、あなたの肝臓と腎臓が疲労困憊していないかを見つめ直し、臓器への労りを毎日の生活に取り入れることが、遠回りのようでいて実は最も確実な育毛への近道なのです。
肝腎要とはよく言ったもの、臓器ケアが最強の育毛法