「忙しいから寝る時間を削る」という生活スタイルは、現代人にとって一種の美徳のように語られることもありますが、髪の毛にとって睡眠不足は緩やかな自殺行為に等しく、積み重なった睡眠負債は確実に頭皮の砂漠化を招き、将来的な薄毛という高い利子をつけて返済を迫られることになります。髪の毛は24時間常に伸びているわけではなく、主に夜間、特に副交感神経が優位になりリラックスしている睡眠中に集中的に細胞分裂を行って成長しますが、この時に不可欠なのが脳下垂体から分泌される成長ホルモンです。成長ホルモンは入眠直後の深い眠り(ノンレム睡眠)の時に最も多く分泌されるため、睡眠時間が短かったり質が悪かったりして深い眠りに到達できないと、成長ホルモンの恩恵を受けられず、髪の修復や成長がストップしてしまいます。また、睡眠不足は自律神経のバランスを崩し交感神経を優位にし続けるため、血管が収縮したままになり頭皮への血流が悪化し、せっかく食事で摂った栄養も毛根まで届かずに老廃物として排出されてしまいます。さらに、脳が休息できないことでストレス耐性が低下し、些細なことでイライラしたり不安になったりして新たなストレスを生み出すという悪循環にも陥ります。髪を守るための睡眠のゴールデンタイムは「22時から2時」という説がありますが、現代のライフスタイルでは現実的ではないため、重要なのは「寝入りの90分」を深くすることであり、そのために就寝の1時間前にはスマホやPCのブルーライトを遮断し、ぬるめのお湯に浸かって深部体温を上げ、リラックスできる環境を整えることが推奨されます。また、休日の寝溜めは体内時計を狂わせて逆効果になるため、毎日同じ時間に起きて朝日を浴び、セロトニンを分泌させて夜のメラトニン生成を促すというリズムを作ることが、質の高い睡眠を確保し、寝ている間に髪を育てるための最強の育毛法となるのです。現代人の生活に欠かせないスマホやパソコンですが、これらが発する大量の情報とブルーライトは脳を常に興奮状態にし、「脳疲労」を引き起こして自律神経を乱すことで、現代型薄毛の大きな要因となっていることを認識し、意識的にデジタルデトックスを行う時間を持つことが急務となっています。スマホを見続けていると、眼精疲労から首や肩が凝り固まり頭皮への血流が悪化するだけでなく、次から次へと流れてくるSNSやニュースの情報処理に脳が追われ、情報の洪水を浴び続けることで脳がオーバーヒート状態になり、リラックスするための機能が麻痺してしまいます。また、夜遅くまでブルーライトを浴びると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下して成長ホルモンが出なくなり、髪の修復が行われなくなります。さらに、SNSで他人のキラキラした生活やフサフサな髪を見て自分と比較し、劣等感や焦燥感を感じることも精神的なストレスとなり得ます。こうしたデジタル毒から身を守るためには、寝室にはスマホを持ち込まない、食事中は見ない、休日は通知をオフにするなど、自分なりのルールを決めてデジタル機器と距離を置く時間を作ることが必要です。