皮膚科の診療現場においてケトコナゾールはなくてはならない基本薬の一つとして確立しており私たち医師がこの薬を信頼し頻繁に処方する背景にはその確実なエビデンスと使い勝手の良さがあります。まず脂漏性皮膚炎という疾患は成人のおよそ数パーセントから十数パーセントが罹患すると言われる非常にポピュラーな病気ですがその原因がマラセチアという真菌であることを特定しそこにピンポイントで作用するケトコナゾールの登場は皮膚科治療における革命的な出来事でした。ステロイド外用薬は炎症を抑える力は強力ですが長期使用による皮膚萎縮や毛細血管拡張酒さ様皮膚炎といった副作用のリスクが常に付きまとうため顔面や首といった目立つ部位や慢性的に症状が続く患者に対しては使いにくい場面も多々ありますがケトコナゾールはそうした副作用の心配が少なく長期的なコントロールが必要な慢性疾患の維持療法として非常に優秀です。また抗真菌薬の中には白癬菌には効くがカンジダには効かないといったスペクトルの偏りがあるものも存在しますがケトコナゾールは白癬菌カンジダ菌マラセチア菌といった皮膚真菌症の主要な原因菌をほぼ網羅しているため顕微鏡検査で菌種が特定しにくい場合や混合感染が疑われる場合でも効果が期待できるという臨床的な安心感があります。さらに最近ではAGAクリニックなどでもケトコナゾールシャンプーの処方が増えていますがこれは医学的な理屈としても興味深く抗炎症作用による頭皮環境の正常化に加えて抗アンドロゲン作用の可能性を含めて多角的に薄毛治療をサポートするツールとして私たちもその有用性を認識しつつあります。もちろん全ての患者にケトコナゾールが特効薬となるわけではなく中には効果が不十分な症例や副作用で使えない症例もありますがそれでも第一選択薬としての地位は揺るぎないものでありまずはケトコナゾールで治療を開始し経過を見ながら必要に応じて他の薬剤に切り替えたり併用したりするというのが現在の皮膚科診療のスタンダードです。患者さんにお伝えしたいのはケトコナゾールは即効性を求める魔法の薬ではなく原因菌をじわじわと追い詰めていく兵糧攻めのような薬であるということであり医師を信じて指示通りに塗布を継続していただければ多くのケースで満足のいく結果が得られる信頼性の高い薬剤であるということです。
医師視点で見るケトコナゾールの評価