「もしかして自分の薄毛はAGA(男性型脱毛症)かもしれない」。そう考えた高校生の中には、インターネットでフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった治療薬について調べた人もいるかもしれません。しかし、ここで一つ、非常に重要な事実を知っておく必要があります。それは、原則として、未成年者に対してAGA治療薬は処方されない、ということです。その理由は、これらの薬がホルモンバランスや血圧に影響を与える可能性があり、まだ成長過程にある高校生の体に、どのような影響を及ぼすかが十分に確認されていないためです。特に、フィナステリドやデュタステリドは男性ホルモンに作用する薬であり、骨格や筋肉、生殖機能などがまさに発達している最中の体への使用は、リスクが高いと判断されています。そのため、専門のクリニックや皮膚科を受診しても、高校生にこれらの内服薬が処方されることはまずありません。では、何もできないのかというと、決してそんなことはありません。医師が行うのは、まず正確な診断です。本当にAGAなのか、それとも生活習慣の乱れやストレスによる一時的な脱毛なのかを見極めます。その上で、AGAの可能性がある場合でも、治療の基本は「生活習慣の改善」と「適切なヘアケア」になります。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理、そして頭皮環境を整えるための正しいシャンプー方法などが指導されます。場合によっては、頭皮の炎症を抑えるための外用薬や、血行を促進する効果が期待される市販の育毛剤の使用を勧められることもあります。焦って海外製の薬を個人輸入するようなことは、効果がないばかりか健康を害する危険な行為なので絶対にやめましょう。今は、体を内側から整えることが、未来の髪を守る最も安全で確実な道なのです。