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その薄毛、本当にストレスだけが原因ですか
抜け毛が増えてきた時、「最近、仕事が忙しかったから」「人間関係で悩んでいたから」と、その原因を全てストレスのせいだと結論づけてしまうのは、実は少し危険な考え方かもしれません。もちろん、ストレスが薄毛の大きな引き金になることは事実です。しかし、特に男性の場合、その背後にはより根本的な原因である「AGA(男性型脱毛症)」が隠れている可能性が非常に高いのです。この二つを混同し、ストレスケアさえすれば治ると思い込んでしまうと、本来必要な治療のタイミングを逃し、症状を悪化させてしまうことになりかねません。ストレス性の脱毛とAGAには、その症状の現れ方にいくつかの違いがあります。一般的に、ストレスが主な原因である脱毛症(休止期脱毛症など)は、原因となるストレスがかかった後、数ヶ月してから、比較的「急激に」「頭部全体」の髪が抜け始めることが多いのが特徴です。特定の部位だけでなく、全体のボリュームが減ったように感じます。一方、AGAは、「ゆっくりと」「特定の部位から」進行するのが特徴です。前頭部の生え際が後退していくM字型や、頭頂部が薄くなるO字型といった、遺伝的に決まったパターンで薄毛が進行していきます。また、抜け毛の質にも違いが見られます。AGAの場合、髪の成長期が短縮されるため、抜ける毛が細く短い産毛のような状態になっていることが多いです。もちろん、この二つが「併発」しているケースも少なくありません。もともとAGAの素因がある人が、強いストレスを受けることで、その進行が一気に加速するというパターンです。この場合、ストレスケアだけでは、進行を完全に食い止めることはできません。もし、あなたの薄毛が、ゆっくりと、そして特定の部位から進行しているように感じるなら、それはストレスだけでなく、AGAの可能性を強く疑うべきサインです。自己判断は禁物です。最も確実なのは、皮膚科や薄毛治療の専門クリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることです。原因を正しく特定してこそ、本当に効果のある対策を始めることができるのです。