発毛ナビ

2025年8月
  • 隠すのをやめたらお洒落が始まった

    薄毛

    てっぺんの薄さが気になりだしてからというもの、僕のファッションは黒や紺といった暗い色の服ばかりになっていた。無意識のうちに、目立たないように、その他大勢に紛れ込もうとしていたのだと思う。髪型も、なんとか薄い部分を隠そうと、サイドの髪を伸ばして被せるような、今思えば最も不格好なスタイルを続けていた。そんな僕の転機は、ある日、鏡の前で自分の惨めな姿に嫌気がさしたことだった。もう、この隠し続ける人生は終わりにしよう。その足で床屋へ行き、「とにかく短くしてください」とだけ告げた。バリカンで刈り上げられた頭は、自分でも見慣れないほどサッパリしていた。もちろん、頭頂部の薄さは丸見えだ。しかし、不思議と心は晴れやかだった。何かから解放されたような、清々しい気分だった。その週末、僕はクローゼットの奥に眠っていた、明るい色のシャツを手に取った。髪を隠す必要がなくなった今、服装で自分を表現することに何の躊躇もなかった。新しい髪型は、シンプルなTシャツ一枚でも様になる。さらに、今まで似合わないと決めつけていたメガネやハットといった小物も、試してみると驚くほどしっくりきた。頭がコンパクトになった分、全体のバランスが取りやすくなったのだ。隠すことをやめた瞬間、僕の「お洒落」は始まった。それは、単に服を選ぶということではない。自分自身を肯定し、表現することの楽しさを知ったということだ。てっぺんの薄さは、今や僕の個性の一部であり、チャームポイントだとさえ思っている。コンプレックスを手放した時、人は本当の意味で自由になれるのかもしれない。